〜京阪電気鉄道〜


 京阪電気鉄道は、大阪・淀屋橋から京都・出町柳までを結ぶ全長51.6kmの京阪本線・鴨東線と、 宇治線・交野線の2つの支線からなる京阪線、御陵から浜大津までを結ぶ京津線、琵琶湖の西岸地域 を走る石山坂本線からなる大津線、石清水八幡宮の参拝ルートとなっているケーブル線からなって いる私鉄です。京津線は1997年10月に京都市交通局東西線の開業によって、京津三条〜御陵間が 廃止されています。
 京阪というと、「鳩マーク」で有名な特急電車と、関西民鉄では最長の複々線区間の存在があげ られます。複々線については、1988年に東武に抜かれるまで民鉄最長の区間を有していましたが、 この歴史はひじょうに古く、最初の蒲生(現・京橋付近)〜守口(現・守口市)間の完成は1933年12月 でした。現在の天満橋〜寝屋川信号所間の12.6kmの複々線区間が完成したのは、1980年3月のことで す。ラッシュ時には高密度な運転が行なわれていて、迫力は満点です。
 車両に目を向けていくと、京阪は回生制動の常用システムの構築にひじょうに熱心だった私鉄で あり、抵抗制御から界磁添加制御への改造も行なわれ、現在在籍している直流モータ車のほとんど が回生ブレーキを装備しています。また、台車の種類が多いことも有名で、50種類に及ぶ台車が 存在しています。
 VVVF車両は全部で4形式あり、京阪線の7000・7200・9000系・10000系、京津線の800形が在籍しています。 制御装置のメーカはすべて東洋電機製のものが使用されています。

10000系 10000系
走行音[kei10ka.rm/RA8.0形式/355KB]
収録区間:交野線 交野市→河内森(2002.4.27)
制御方式:VVVFインバータ制御(東洋電機2レベルIGBT、1C2M2群制御、ATR-H4200-RG678A形)
主電動機:200kW(TDK6151-B形、歯車比85:14=6.07)
※2002年4月15日より営業運転を開始した京阪線の新型車両です。VVVF動作時に「ピコ〜」と鳴るのが 何とも奇妙です。

京阪7000系 京阪7000系[kei7000a.ra/152KB]
 7000系は、6000系14番編成で試験していたVVVF制御を本格採用した形式で、鴨東線開業の1ヶ月前、 1989年9月から営業運転を開始しました。当初は6連2本+4連1本の陣容でしたが、のちの1991年から 92年にかけて中間車が増備されて7連となりました。1993年には試験車であった6014を含む6000系 3両が7000系に編入し、新造車と合わせて7連が組成され、現在は7連4本の在籍となっています。
 VVVF装置のメーカは東洋電機で、後期型の音が出ます。間延びしているので、三菱GTO標準型に 似ていないでもない音がするのが特徴です。京急の1700形や600形のものと同じような感じです。
 モータは、この時期の車としては大出力の200KWのものを使用しています。これも東洋電機製の ものです。これらの走り装置は、後発の7200・9000形にそのまま引き継がれていくことになります。

京阪7200系 京阪7200系[kei7200a.ra/185KB]
 7200系は、7000系のマイナーチェンジ版といえる車両で、京阪通勤車の次期モデルです。 1995年5月から営業運転を開始しており、現在は8連2本+7連1本の合計23両が在籍している少数派です。
 7000系との相違点は、運転台の変更(デスクタイプ)、列車モニタ装置の設置、客室内の案内表示器 の設置(路線図はポイント式LED、スクロールは蛍光表示管)、パワーウインドーの新設、暖房機器の 増強、客室内のデザイン変更、などです。車内は明るく軽快な印象になり、モケットがパープルと ブルーの2色のものを採用しています。また前面デザインも変更され、6000系以降のものよりも さらに大型の曲面ガラスを使用しています。
 走り装置は前述の通り、7000系とほとんど同じです。異なるのは台車の形式くらいですが、 走行音には影響はなさそうです。

京阪9000系 京阪9000系[kei9000a.ra/191KB]
 9000系は、平日朝ラッシュ時の淀屋橋方面特急の混雑緩和や旅客サービス向上を図るために 1997年3月から営業運転を開始している、京阪線で最新の形式です。最初に増備された8連5本の合計40両が在籍して います。3扉ながらも、車内は集団離反式のセミクロスシートが展開しており、特急から普通まで オールマイティーに運用できる車両です。
 在来車と区別するために、窓下にパステルブルーのラインが引かれているのが外観上の最 大の特徴です。走り装置は7000・7200形と同一で、やはり東洋GTO後期型の音がします。
 9000系の登場に合わせて、平日の淀屋橋方面の特急は93年1月の中書島停車に加え、枚方市にも 停車するようになりました。今までは8000系を使っていた朝ラッシュ時の特急の混雑緩和に 威力を発揮しています。なお、日中は急行に運用されていることが多いようです。

京阪800形 京阪800形[kei800a.ra/141KB]
 京津線は、もともと京津三条〜浜大津を結んでいた路線で、京津三条〜御陵までの間は 軌道区間で、80形や260形などの車両が走っていましたが、1997年10月の京都市交通局東西線 の開業に合わせて、直通運転を行なうために新造された車両です。東西線は京津線に準じた 小断面規格の地下鉄で、東西線内で使用するATC、ATO、ワンマン設備を搭載したVVVF車両です。
 VVVF装置は、東洋電機のIGBTで、東洋IGBTとしては初めての量産形式です。なお、これは 東急7715Fで採用したものの改良版であるものと思われます。 音はその東急7715Fとほぼ同じなのですが、800形の特徴として、減速して停止する際にひじょうに 高いブレーキ音が襲ってくるというものはあります(笑)。
 車体は琵琶湖をイメージした水色基調のパステルカラーで、以前とはまったく違う印象に仕上が っています。また地下区間・併用軌道・急曲線・急勾配区間に対応させるための台車や車体とし、 また地下区間と地上区間では架線の高さも異なるために、両方に対応できるシングルアームパンタを 装備しています。また先頭車はクロスシートを採用しているため、小旅行気分が味わえるのも 特徴の一つです。


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(C)音鉄館/OTOTETSU-KAN/おとてつ 1997-2009 作成:1998年5月24日 最終更新:2009年1月25日
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